ダイエットしようとして、あまり食べていないのに痩せない…
若い頃と比べて痩せにくくなった…
歩いていても体重が減らない…

40代以上の方からこんなお悩みをよく聞きます。年齢とともに下がりやすくなる代謝を維持し、さらに高めるためにどうすればいいか確認し、1つでも多く実践していきましょう。

動かないのが最もダメ

脂肪燃焼には、ウォーキングなどの有酸素運動が効果的なのはよく知られています。かつては「20分以上歩かないと脂肪が燃焼しない」と言われていましたが、実はそんなことはありません。運動後もしばらく脂肪燃焼効果が続くため、短時間でも運動することは健康維持や減量に効果があるのです。

それよりも良くないことは、筋肉に刺激を与えない(=動かない)ことです。筋繊維が細くなる前に筋肉の神経伝達能が低下し、筋肉の動きが悪くなるので、長時間の座りっぱなしを減らしましょう。ストレッチも筋肉の維持には効果があります。もちろん、筋トレと栄養補給で筋肉量を維持、増加させることも大事ですね。

睡眠不足は筋力不足に

睡眠不足になると、交感神経の緊張により糖質コルチコイド(コルチゾール)の分泌量が増加します。糖質コルチコイドはステロイドホルモンとも言い、血糖値を上昇させるだけでなく、筋線維タンパク質の合成の抑制と分解の亢進を促進します。つまり、筋肉量が低下して体脂肪率が高くなり、結果として太りやすくなるということです。

忙しいと削りがちな睡眠時間ですが、体のメンテナンスのためには睡眠に優るものはありません。夜更かしせず、しっかり睡眠時間を確保しましょう。

ストレスでも筋肉量低下

ストレスも睡眠不足と同様に糖質コルチコイドの分泌量を増加させ、筋肉量の低下につながります。「ストレスなんて自分で管理できない」と思われるかもしれませんが、うまく受け流したり、発散方法を見つけたりして、抱え込まないようにするといいでしょう。自分の健康を害してはもったいないですね。

栄養が偏り体内で使えていない

ダイエットしようとして、食事量が少な過ぎる、食事回数が少ない、欠食している人も多いですね。「食べているから痩せない」と考えている人も多いですが、摂取したエネルギーを栄養として利用できていない場合も減量できません。

例えば、おなかぽっこりで手足が細い人は、クワシオルコル型というタンパク質不足で栄養状態が悪い可能性もあります。この場合、脂肪肝になったり、浮腫が見られたりします。食事は減らしながらもお菓子が多い人、食べないで飲酒する人はこの傾向があります。

逆にタンパク質ばかり摂っていても、これを利用するためのエネルギー不足やビタミン不足の可能性があります。極端な糖質制限を行っている人は要注意です。

バランスの良い食事、よく噛んで

食事を摂ると体温が上がることを「食事誘発性熱産生」と言います。食事誘発性熱産生で消費するエネルギーは、タンパク質のみを摂取したときは摂取エネルギーの約30%、糖質のみの場合は約6%、脂質のみの場合は約4%です。通常の食事はこれらの混合で約10%といわれています。

筋肉量の低下や働きが悪くなると食事誘発性熱産生も低下します。また、よく噛まずに飲みこんだり、流動食だけを摂ったりするよりも、よく噛んで食べる方が食事誘発性熱産生は高くなるといわれています。食事内容も大切ですが、食べ方や食事回数にも気をつけたいですね。

参照:厚生労働省 e-ヘルスネット

管理栄養士・今井久美